「布のトートバッグにも洗濯ネームは必要なのか」「エプロンやタオルを販売するとき、品質表示はどうすればいいのか」。服以外の布製品を作る方から、こうした相談をよく受けます。服なら表示が必要だと知っていても、雑貨になると判断がつかないという声は少なくありません。
結論から書きます。品質表示が必要な繊維製品は、法令で品目ごとに指定されています。「布でできているから必要」「雑貨だから不要」と素材や呼び名で決めるのではなく、作る製品が指定の品目に当たるかどうかを、消費者庁の資料で確認するのが正しい手順です。私たちはアパレルOEM会社として、服だけでなく布小物の生産にも関わる立場から、確認の進め方を整理します。品目ごとの可否はこの記事では断定せず、調べ方に絞って説明します。
1. 表示の義務は「指定された品目」にかかる
家庭用品品質表示法は、家庭で使われる製品のうち、消費者が品質を見分けにくく、表示が必要とされるものを指定して、表示のルールを定めています。対象は繊維製品だけでなく、合成樹脂加工品、電気機械器具、雑貨工業品の区分があります。指定されていない製品には、この法律に基づく表示の義務はかかりません。
繊維製品については、繊維製品品質表示規程で対象となる品目と、品目ごとに表示すべき事項が決められています。つまり、確認すべきことは次の2つです。
- 作る製品が、指定された品目に当たるか
- 当たる場合、どの事項(組成、家庭洗濯等の取扱い方法など)の表示が必要か
2. 品目によって必要な表示事項が違う
指定された品目でも、すべてに同じ表示が求められるわけではありません。組成の表示だけが求められる品目もあれば、組成と洗濯表示の両方が求められる品目もあります。服と同じ感覚で「組成と洗濯表示と表示者を全部載せる」と考えていると、必要以上の手間をかけたり、逆に必要な項目を落としたりします。品目ごとの表示事項は、規程の一覧で確認してください。
3. 服以外の製品を確認する手順
- 製品の用途と形を言葉にする——「肩掛けの布製の袋」「腰に巻く作業用の布」など、商品名ではなく用途と形で整理します
- 規程の対象品目の一覧と照らし合わせる——消費者庁のウェブサイトで、繊維製品品質表示規程と対象品目の資料を確認します
- 素材の構成を確認する——布が主な素材か、革や合成樹脂など別の素材が主かで、見るべき規程が変わることがあります
- 判断がつかなければ問い合わせる——消費者庁や所在地の自治体の窓口に、製品の写真と仕様を添えて確認します
同じ「バッグ」「エプロン」と呼ばれる製品でも、素材の構成や用途で扱いが変わる可能性があります。過去に作った似た製品の判断を、そのまま流用しないことが大切です。たとえば布製のトートバッグなら、持ち手が革か布か、底に合成樹脂の板が入っているか、といった点まで書き出しておくと、窓口に問い合わせるときも話が早く進みます。
4. 対象外でも表示を付けるという選択
確認の結果、表示義務のある品目に当たらなかった場合でも、組成や洗い方を表示しておくことはできます。布製品は洗って使うことが多く、お客様から「洗えますか」「何の素材ですか」と聞かれる場面は少なくありません。任意で表示する場合も、次の点は守ってください。
- 組成は実際の素材と混率に合わせ、推測で書かない
- 洗濯表示を載せるならJIS L0001の記号を使い、耐えられる上限を正しく示す
- 表示者名と連絡先を載せ、問い合わせ先を明らかにする
任意の表示でも、内容が事実と違えば誤解や苦情のもとになります。義務がないからといって、雑に作ってよいわけではありません。
5. 確認の記録を残す
品目の判断をしたら、「いつ、何の資料を見て、どう判断したか」を品番ごとに記録しておきます。窓口に問い合わせた場合は、日付と回答の要点を残します。後から同じ種類の製品を作るときや、取引先に表示の根拠を聞かれたときに、すぐに説明できます。品目の扱いや規程は見直されることもあるため、新しい製品を作るときは、記録を参考にしつつ最新の資料も確認してください。
服以外の布製品は、品目の判断が最初の関門です。思い込みで進めず、資料と窓口で確かめてから、タグの原稿づくりに進んでください。