「会社名を入れるべきか、ブランド名だけでいいのか」「個人事業主だと屋号で書けるのか」。品質表示を作る段階で、表示者の書き方に迷う方は少なくありません。
結論から書きます。表示者には、そのブランドを販売する事業者の氏名または名称と、住所または電話番号を載せます。ブランド名だけでは、事業者が特定できず不十分になるおそれがあります。私たちはアパレルOEM会社として、タグの校正で表示者欄を直す場面に何度も立ち会ってきました。その現場目線で、ケース別の考え方を整理します。
1. 表示者とは「表示に責任を持つ事業者」
家庭用品品質表示法では、繊維製品の品質表示に、組成や取扱い方法とあわせて、表示を行う事業者の名称などを載せることが求められます。表示者は、製品を作った工場ではなく、表示に責任を持ってその製品を販売する側の事業者と考えるのが基本です。OEMで生産を委託した場合も、自社ブランドとして販売するなら、表示者は通常ブランドを運営する自社になります。
誰が表示者になるかの責任分担は別の記事でも触れています。ここでは「何を、どう書くか」に絞ります。
2. 書く項目は「名称」と「連絡先」の2つ
名称
法人なら、登記されている会社名です。「株式会社」などの法人格も含めて書きます。略称や通称ではなく、正式名称を使うのが無難です。
連絡先
住所または電話番号のどちらかを載せます。両方載せても構いません。どちらを選ぶかは、問い合わせを受ける体制で決めます。電話番号を載せるなら、日中に実際につながる番号にしておく必要があります。
3. ケース別の書き方の考え方
法人の場合
「会社名+住所(または電話番号)」の形が基本です。ブランド名は、会社名とは別に並べて載せても問題ありません。ブランドのタグと一体にするときは、表示者欄だけが埋もれないよう、位置と文字の大きさに気を配ってください。
個人事業主の場合
氏名で書くのが最も確実です。屋号で書けるかどうかは、屋号から事業者を特定できるかによって考え方が変わります。迷う場合は、消費者庁や所在地の自治体の窓口に確認するのが安全です。住所をタグに載せたくないときは、電話番号で代用する方法もよく使われます。
ブランド名だけを載せたい場合
ブランド名は商標やロゴとして使うもので、事業者の名称とは別のものです。ブランド名だけでは、問い合わせ先や責任の所在が分かりません。ブランド名は残しつつ、事業者名と連絡先を併記する形にしてください。
販売元と製造元が別の場合
販売する事業者と、製造を担う事業者が異なる場合でも、表示に責任を持つのは販売側が基本です。製造元を併記する書き方もありますが、表示者の欄に誰を書くかを曖昧にしないことが大切です。
4. よくある修正パターン
- 電話番号が個人の携帯のまま——つながらない時間帯があると問い合わせに対応できません。事業用の番号を用意します。
- 法人格が抜けている——「株式会社」を省いた略称で作ってしまい、校正で戻るケースがあります。
- 住所が旧住所のまま——移転後に、古いデータで再発注してしまうことがあります。
- 表示者欄が小さすぎる——読み取れない文字サイズでは、表示の意味がなくなります。
5. 洗濯ネームのデータに入れるときの注意
洗濯ネームは面積が小さいため、組成・洗濯表示・表示者を限られた枠に収める必要があります。表示者の文字を小さくしすぎず、会社名と連絡先を1〜2行にまとめるのが定番です。入稿前に、会社名・住所・電話番号の誤字がないかを必ず声に出して確認してください。数字の1行違いだけでも、問い合わせが届かなくなります。
表示の書き方に不安が残る場合は、実際の販売方法や事業形態によって判断が変わることがあります。最終的な確認は、公的な窓口で行うのが確実です。