「同じ綿のTシャツなのに、プリントの種類で洗濯表示を変える必要があるのか」「箔のプリントを入れたいが、どんな表示にすればいいのか」。プリントTシャツは、生地よりもプリントのほうが先に傷むことが多い製品です。表示を生地だけで決めると、数回の洗濯でひび割れやはがれが出て、苦情につながります。
結論から書きます。プリントTシャツの洗濯表示は、プリントの種類ごとの「熱への弱さ」と「摩擦への弱さ」で決めます。生地に染み込むプリントは比較的制限が少なく、表面に層を作るプリントほど、タンブル乾燥・アイロン・クリーニングの記号を厳しくし、裏返し洗いやアイロンの付記で補います。私たちはアパレルOEM会社として、プリントの工場の推奨を確認しながら表示を決めています。綿100%のTシャツの基本の組み合わせは別の記事で扱っているため、ここではプリントの種類による違いに絞ります。
1. プリントは「染み込む」か「表面に乗る」か
プリントの耐久性は、インクが生地にどう付いているかで大きく変わります。
- 生地に染み込むタイプ——インクが繊維の中に入り込み、手ざわりが生地に近いもの。摩擦には比較的強い一方、洗濯を重ねると少しずつ色があせます
- 表面に層を作るタイプ——インクや素材が生地の上に膜や層を作るもの。発色や立体感が出る反面、熱で傷み、生地の伸びや摩擦でひび割れやはがれが起きます
表示を決める前に、プリントの工場にどちらのタイプか、推奨の洗い方は何かを確認してください。
2. プリントの種類ごとの考え方
染み込みプリント・抜染
生地に色が入り込むため、生地の表示に近い組み合わせで問題ないことが多いプリントです。色あせを抑えるため、日陰のつり干しと「裏返して洗ってください」を添えると安心です。
ラバー系のプリント
ゴムのような層を作るプリントです。熱でやわらかくなってべたついたり、くっついたりします。タンブル乾燥はバツ、アイロンは点1つにして「プリント部分にアイロンを当てないでください」を付記します。溶剤で傷む場合があるため、クリーニングはバツを含めて工場の推奨を確認します。
発泡プリント
熱でふくらませて立体感を出すプリントです。再び熱を加えると形が変わり、摩擦で表面が削れます。ラバー系と同じく、タンブル乾燥とアイロンを厳しくし、裏返し洗いと洗濯ネットの付記を入れます。
箔プリント
金属のような光沢を出すプリントで、最も摩擦と熱に弱い部類です。洗濯は下線2本(非常に弱い処理)か手洗い、タンブル乾燥とアイロンはバツを基本にし、クリーニングもバツを検討します。漂白剤で変色するおそれもあるため、漂白もバツにします。
転写シートを使ったプリント
シートを熱で圧着する方法で、少量の製作によく使われます。高い熱や強い摩擦で端からはがれやすいため、タンブル乾燥とアイロンはバツ、裏返し洗いの付記を基本にします。
3. 共通して使う付記用語
- 裏返して洗ってください
- 洗濯ネットを使用してください
- プリント部分にアイロンを当てないでください
- アイロンは裏からあて布をしてかけてください
アイロンの記号をバツにした場合は、アイロンに関する付記は入れません。記号と付記用語が食い違わないように、最後に照らし合わせてください。
4. 複数のプリントを組み合わせたとき
一枚のTシャツに、染み込みプリントと箔プリントを組み合わせるといったデザインもあります。この場合は、いちばん弱いプリントに合わせて記号を決めます。部分的な箔でも、洗い方はすべて箔に合わせることになります。デザインの段階で、表示がどこまで厳しくなるかを確かめておくと、後から「こんなに手間のかかる表示になるとは思わなかった」という事態を防げます。
5. サンプル洗いで確かめる
同じ種類のプリントでも、インクや版の厚み、生地との相性で耐久性は変わります。量産の前に、表示どおりの方法で何度か洗い、ひび割れ・はがれ・色あせ・べたつきを確認してください。結果が悪ければ、表示を厳しくするか、プリントの方法自体を見直します。工場から推奨の表示を出してもらえる場合は、その根拠になった試験の条件もあわせて聞いておくと、お客様から問い合わせを受けたときにも説明に困りません。