「リネンのシャツの洗濯表示は綿と同じでいいのか」「組成に『リネン100%』と書いてよいのか」。麻の製品は夏物を中心に人気がありますが、表示を作る段階では、組成の書き方と、シワ・縮みへの配慮で迷う方が多くいらっしゃいます。
結論から書きます。組成表示の繊維名は、指定用語の「麻」で書きます。洗濯表示は、熱に強い性質を生かしてアイロンを高めの温度まで許しつつ、縮みとシワを抑えるために洗い方を弱めにし、タンブル乾燥は禁止にするのが基本です。私たちはアパレルOEM会社として、麻のシャツやパンツ、エプロンなどの表示を決めるときに、この考え方を出発点にしています。
1. 組成表示は「麻」で書く
組成表示の繊維名は、法令で決められた指定用語を使います。亜麻(リネン)や苧麻(ラミー)は、指定用語では「麻」です。商品名や説明文で「リネン」という言葉を使うことはできますが、組成表示の欄では「麻100%」「麻55% 綿45%」のように書くのが基本です。括弧で補足を添える書き方がどこまで認められるかは、消費者庁の資料で確認してください。見た目を優先して「リネン」とだけ書いたネームは、校正で直す対象になります。
2. 麻の性質と表示への影響
- 熱に強い——綿と同じく高い温度のアイロンに耐えます。アイロン記号は点3つまで選べることが多い素材です
- 濡れても強い——水を含んでも強度が落ちにくく、家庭洗濯を前提にしやすい素材です
- 縮みやすい——特に製品洗いをしていない生地は、最初の洗濯で寸法が縮むことがあります
- シワになりやすい——強い脱水や乾燥機でシワが深く残ります
- 折り目が白っぽくなる——濃色の生地は、強くこすれた折り目の色が抜けたように見えることがあります
3. 製品洗い済みの麻製品の組み合わせ例
製品洗いをして縮みを落ち着かせたシャツやパンツの場合、私たちは次の組み合わせを基本にしています。
- 洗濯——洗濯おけに「40」+下線1本(弱い処理)。濃色や薄手の生地は「30」にします
- 漂白——白や生成りは三角形のみも選べますが、色物は三角形に斜線2本(酸素系のみ可)にします
- タンブル乾燥——バツ(禁止)。縮みとシワの両方を防ぐためです
- 自然乾燥——四角に縦線(つり干し)。シワを減らしたい場合は、縦線2本(濡れつり干し)を選ぶ方法もあります
- アイロン——点3つ(200℃上限)。濃色は点2つにし、あて布の付記を添えます
- クリーニング——円にP、または円にF
濡れつり干しは、脱水をせずに干すことを示す記号です。シワは減りますが、乾くまでに時間がかかり、重みで伸びやすい形の製品には向きません。製品の形と生地の厚みを見て選びます。
4. 製品洗いをしていない麻製品で変えるところ
生地の状態のまま縫製した麻製品は、最初の洗濯で縮むことを前提にします。洗濯記号は下線を増やして弱い処理にし、縮み幅が大きい場合は手洗いを検討します。縮むことが分かっている製品では、「洗濯により縮むことがあります」と付記し、詳しい説明は下げ札や商品ページに回します。サイズの設計の段階で、縮み分を見込んでおくことも大切です。縮み幅は生地ごとに違うため、量産前に生地の段階で洗って測っておくと、型紙の修正にも使えます。
5. 麻製品でよく使う付記用語
- 脱水は短時間にしてください
- 形を整えて干してください
- 濃色の製品は他の物と分けて洗ってください
- あて布を使用してください
麻のシワは素材の風合いとして楽しまれることも多いため、シワそのものを防ぐ指示を細かく書く必要はありません。ネームには洗い方と干し方の要点だけを残します。並べた付記用語は、最後に記号と照らし合わせ、食い違いがないかを確かめてください。
6. 混紡と確定前の確認
麻と綿の混紡は扱いが近く、上の組み合わせを当てはめやすい組成です。麻とレーヨンやポリエステルの混紡では、相手の繊維の弱点に合わせて記号を厳しくします。どの組成でも、サンプルを表示どおりに洗い、縮み・シワ・色の変化を確かめてから記号を確定してください。また、濃色の麻は汗や日光で色があせやすいことがあります。夏物で濃い色を使う場合は、日陰干しの記号を選ぶか、他の物と分けて洗う付記を入れておくと安心です。