「アイロン記号の点の数は何を表しているのか」「綿とポリエステルが混ざった服は何点にすればいいのか」「当て布の指示はどこに書くのか」。洗濯表示の中でも、アイロン記号は素材による差がはっきり出るところで、決め方に迷う方が多くいらっしゃいます。
結論から書きます。アイロン記号は、アイロンの形の中の点の数で底面温度の上限を示します。点が多いほど高い温度に耐えられるという意味で、製品に使われている素材や加工のうち、いちばん熱に弱いものに合わせて点の数を決めます。当て布などの注意は、記号に加えて付記用語で補います。私たちはアパレルOEM会社として、素材と加工の組み合わせを見ながらこの順で決めています。
1. 点の数と上限温度
JIS L0001のアイロン記号は、アイロンの形の中に点を入れて表します。
- 点3つ——底面温度200℃を限度としてアイロン仕上げができる
- 点2つ——底面温度150℃を限度としてアイロン仕上げができる
- 点1つ——底面温度110℃を限度とし、スチームなしでアイロン仕上げができる
- バツ——アイロン仕上げ禁止
どの記号も「上限」を示すもので、それより低い温度で当てることを妨げません。点1つは「スチームなし」が含まれている点に注意してください。スチームの熱や水分で傷む製品に向いた記号です。
2. 素材ごとの選び方の目安
素材ごとのおおまかな目安は次のとおりです。実際には生地の厚みや仕上げ加工で変わるため、最後はサンプルで確かめます。
- 綿・麻——熱に強く、点3つまで選べることが多い素材です。薄手や色の濃いものは点2つに下げることもあります
- 毛・ポリエステル——点2つが目安です。ポリエステルの薄手や光沢のある生地は点1つに下げます
- ナイロン・アクリル・ポリウレタン——熱に弱く、点1つが目安です。製品によってはバツにします
混紡や、部位ごとに素材が違う服は、いちばん熱に弱い素材に合わせます。綿とポリウレタンのストレッチ素材なら、綿だけを見て点3つにせず、ポリウレタンに合わせて点を下げます。
3. 加工がある場合は加工に合わせる
生地が熱に強くても、加工が熱に弱ければアイロン記号は加工で決まります。
- プリント——ゴム系のインクや転写プリントは熱で溶けたり、はがれたりします
- プリーツ——熱で形を固定しているため、高温のアイロンでひだが崩れます
- 起毛・パイル——押しつけると毛が寝て、元に戻りにくくなります
- ラミネートや接着——接着剤が熱でゆるむことがあります
こうした加工がある製品は点1つかバツを選び、加工を担当した工場の推奨を確認してから確定します。
4. 当て布とスチームの指示は付記用語で
アイロン記号では、当て布の要否は表せません。必要な場合は、記号の近くに付記用語で添えます。よく使うのは次のものです。
- あて布を使用してください
- プリント部分にアイロンを当てないでください
- 裏側からアイロンをかけてください
当て布が必要になる代表例は、濃色の生地や毛・ポリエステルの生地に出る「てかり」です。直接アイロンを当てると表面がつぶれて光ってしまうため、当て布で防ぎます。
スチームについては、点1つの記号自体が「スチームなし」を含んでいます。点2つ以上でスチームを避けたい事情があれば、付記用語で補うこともできますが、記号と矛盾しないように書きます。
5. よくある判断ミス
- 生地だけを見て点3つにする——ストレッチ糸や裏地、プリントを見落とすと、点の数が高すぎる表示になります
- 点1つで「スチームを当ててください」と書く——記号と付記用語が食い違います
- 念のためバツにする——アイロンをかけたいシャツなどでバツにすると、お客様の不満につながります。試験で確かめて、耐えられる上限を示します
6. 確定前の確認
サンプルの段階で、表示する点の数の温度で実際にアイロンを当て、てかり・縮み・溶け・色の変化を確認してください。当て布ありとなしの両方を試すと、付記用語が必要かどうかも判断できます。試験ができていない段階では、低いほうの点の数を選んでおき、結果を見てから上げるのが安全です。アイロン記号は、苦情になると原因がはっきり分かりやすい項目です。だからこそ、根拠を持って点の数を決めておくことが大切です。