「パーカーの洗濯表示は、スウェットと同じでいいのか」「フードの裏だけ別の生地なのだが、表示はどうなるのか」「ひもが洗濯で抜けたという問い合わせが来た」。パーカーは部位が多く、生地だけを見て表示を決めると、思わぬところで事故が起きます。
結論から書きます。パーカーの洗濯表示は、身生地の組成で基本の記号を決めたあと、フード・ひも・リブ・プリントの4つの部位を一つずつ確認し、いちばん弱い部位に合わせて記号を調整します。記号では伝えきれない注意は、ひもやファスナーの扱いを中心に付記用語で補います。私たちはアパレルOEM会社として、パーカーのサンプルを確認するたびに、この部位ごとの点検をしています。綿・ポリエステル混の生地そのものの記号の選び方は、スウェットの記事で扱っているため、ここでは部位の観点に絞ります。
1. フード——乾きにくさと別布の組成
フードは生地が二重になっていることが多く、身頃より乾くのに時間がかかります。乾ききらないまま収納すると、においや型崩れの原因になります。乾燥の記号はつり干しを基本にし、「フードを広げて干してください」と付記すると親切です。
フードの裏に身頃と違う生地を使っている場合は、組成を部位別に書き分けます。たとえば身生地が綿・ポリエステル混で、フードの裏が綿100%の天竺なら、それぞれの部位名を付けて混率を書きます。洗濯表示は、二つの生地のうち弱いほうに合わせます。
2. ひも——抜け・からまり・先端の付属
フードのひもは、洗濯中に片側へ引き込まれて抜けたり、他の衣類とからまったりします。先端に金属や樹脂の付属が付いていると、洗濯槽や他の衣類を傷つけることもあります。
- 付記用語で「ひもを結んでから洗ってください」「洗濯ネットを使用してください」と添える
- 先端の付属が熱や漂白剤で変色しないか、サンプルで確かめる
子供用のパーカーでは、フードや首まわりのひもに安全面の規格があります。表示とは別の話ですが、デザインの段階で確認しておいてください。
3. リブ——ストレッチ糸の熱への弱さ
袖口と裾のリブには、伸縮性を出すためにポリウレタンが入っていることがよくあります。ポリウレタンは熱や塩素系漂白剤で劣化し、伸びたまま戻らなくなります。身生地が綿中心でも、リブにポリウレタンがあれば、タンブル乾燥はバツ、漂白は斜線2本かバツ、アイロンは点1つか2つに下げます。リブの組成も、部位別表示で書き漏れないよう注意してください。
4. プリント・刺繍——熱と摩擦への配慮
胸や背中の大きなプリントは、パーカーで最も熱と摩擦に弱い部分です。ゴム系のインクや厚盛りのプリントは、乾燥機やアイロンの熱で傷み、溶剤で溶けることもあります。プリントの種類によっては、ドライクリーニングを禁止にする判断も必要です。「裏返して洗ってください」「プリント部分にアイロンを当てないでください」を付記するのが定番です。プリントの種類ごとの詳しい考え方は、プリントTシャツの記事で扱います。
5. 組み合わせ例——綿・ポリエステル混の裏起毛、プリント入り
- 洗濯——洗濯おけに「40」+下線1本(弱い処理)
- 漂白——バツ(禁止)
- タンブル乾燥——バツ(禁止)
- 自然乾燥——日陰のつり干し
- アイロン——点1つ(110℃上限)
- クリーニング——プリントの種類に応じて、円にFかバツ
付記用語は「裏返して洗ってください」「ひもを結び、ファスナーを閉めてから洗ってください」「プリント部分にアイロンを当てないでください」から、製品に合うものを2〜3行で選びます。ファスナーは開けたまま洗うと、歯が他の衣類や自分の生地を傷つけます。裏起毛の面は摩擦で毛玉や毛羽が出やすいため、洗濯ネットの付記も候補になります。
6. 確定前の点検
サンプルを表示どおりの方法で洗い、フードの乾き方、ひもの抜け、リブの伸び、プリントのひび割れを順に確かめます。部位ごとに見ることで、生地だけでは気付かない弱点が見つかります。ジップアップのパーカーは、ファスナーのテープと身頃の縫い目がつれていないかも見ておきます。確かめた結果を品番ごとに記録しておくと、色違いや追加生産のときに判断が早くなります。