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2026年9月24日

下げ札と品質表示タグの違い——それぞれに書くべきことと、兼用してよい範囲

「下げ札に素材と洗い方を印刷したので、縫い付けるタグは省きたい」。コストと工程を減らしたいブランドから、この相談を年に何度も受けます。気持ちは分かります。下げ札は紙1枚で刷れて安く、縫い付けのタグは副資材の発注と縫製工程が増えるからです。

結論から書きます。下げ札と品質表示タグは、役割がそもそも違います。下げ札は「買う前に読ませる札」で、購入後は捨てられる前提のもの。品質表示タグは「買った後も製品に残って確認できる表示」です。この前提があるため、洗濯表示と組成を下げ札だけに書いて縫い付けタグを省く、という判断は実務では通りません。私たちはアパレルOEM会社として両方を毎シーズン手配していますが、この切り分けを間違えたまま量産に入ると、納品直前にタグの付け替えという最も高い作業が発生します。

1. 2種類の札は「いつ読まれるか」が違う

まず言葉を整理します。

この違いが、そのまま記載内容の切り分けになります。買う前にしか役に立たない情報は下げ札へ、買った後に必要になる情報は縫い付けタグへ。判断に迷ったら「この情報を半年後に読みたくなるか」と考えると、ほぼ正しく振り分けられます。洗い方は半年後に読みたくなります。価格は読みたくなりません。

2. 品質表示タグに入れる3点は動かせない

繊維製品には家庭用品品質表示法に基づく表示が求められます。実務で必ず入れるのは次の3点です。

この3点は購入後も消費者が確認できる状態にしておく必要があるものです。だから布に印刷して縫い込みます。繊維製品品質表示規程では表示事項ごとに表示の方法が定められているので、自社の品目で迷う場合は消費者庁が公開している規程を確認してください。ただし、実務上の答えは単純です。組成・取扱い記号・表示者名は縫い付けタグに入れる。これが取引先の納品基準でも前提になっています。

3. 下げ札に載せるのは「売るための情報」

下げ札の中身はブランドの自由度が高い部分です。一般的に載るのは次のようなものです。

この最後の項目が、下げ札の一番おいしい使い方です。JIS記号は40度・弱・漂白不可といった枠組みは伝えられますが、「初回は色移りしやすい」「乾燥で1〜2%縮む」といった説明は記号にできません。記号では表せない情報を文章で書ける場所が下げ札だと考えてください。

原産国は家庭用品品質表示法で必須とされる項目ではありませんが、卸先やモールから登録を求められることが多く、事実と違う書き方をすれば景品表示法の観点で問題になり得ます。書くなら、縫製工場の所在地を根拠に正確に書いてください。

4. 「1枚にまとめる」が許される範囲

逆方向、つまり縫い付けタグに情報を寄せるのは自由です。実際に多いのは次の形です。

パターンA:品質表示タグにブランド名も入れる

洗濯ネームの上部にブランドロゴを小さく入れる作り方です。織りネームを別途用意しなくても最低限のブランド表示ができるので、立ち上げ期のコストを抑えられます。品質表示に必要な3点が読めれば、同じラベルにロゴが入っていても構いません。

パターンB:品質表示タグと織りネームを重ねて縫う

首後ろに織りネーム、脇の内側に洗濯ネーム、という分け方が定番ですが、まとめて1か所に縫い込む作り方もあります。縫製工程が1回で済み、工賃が下がります。

やってはいけないパターン:下げ札だけに寄せる

下げ札は外されます。外された時点で、組成も洗い方も確認できなくなります。この形で量産すると、セレクトショップの検品や大手ECの出品審査で止まります。私たちの経験では、止まってから直すほうが、最初からタグを入れるより十数倍の手間になります。

5. 現場でよく起きる食い違い

2種類の札を別のタイミングで発注するせいで、内容がずれる事故があります。

6. 発注の順番

迷ったら、この順で決めれば手戻りが出ません。

  1. 生地が確定したら組成を固める——仕様書か試験成績書を根拠にする
  2. 縫い付けタグ(組成・洗濯記号・表示者名)のデータを作る——縫製の前に現物が必要なので、これが最優先
  3. 下げ札は縫い付けタグの内容を写して作る——価格やJANは後から決まっても間に合います

順番を逆にして、先にデザインの楽しい下げ札から作ってしまうと、組成が変わったときに両方の版を直すことになります。法定表示が先、販促が後です。この順序だけ守れば、量産直前に慌てることはなくなります。

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