「綿100%」「ポリエステル65% 綿35%」——洗濯ネームに必ず入っている混率表示ですが、いざ自分のブランドで書くとなると「コットンと書いてもいいのか」「小数点はどうするのか」「リブの混率が違うときは」と、細かい疑問が次々に出てきます。
結論から書きます。混率表示は「国が定めた指定用語」で「質量の割合」を「百分率」で書くのが原則で、部位によって素材が違えば部位ごとに書き分けます。私たちはアパレルOEM会社として、生地の規格書をもとに製品ごとの混率表示を決め、洗濯ネームの手配まで行っています。その現場で実際に迷いやすい点を中心に整理します。
1. 混率表示の法的な位置づけ
衣類の混率表示は、家庭用品品質表示法にもとづく「繊維製品品質表示規程」で定められた「繊維の組成」の表示です。洗濯表示(取扱い方法)や表示者名と並ぶ必須項目で、対象となる衣類を販売する場合には省略できません。
表示の中身は「どの繊維が」「どれだけ入っているか」の2点です。繊維の名前は規程で決められた指定用語を使い、割合は質量比の百分率で書きます。この2つの原則から、実務上の細かいルールがすべて派生します。
2. 繊維名は「指定用語」で書く
混率表示でもっとも多い間違いが、繊維の呼び名です。日常的に使う呼び方と、表示に使える用語は必ずしも一致しません。
指定用語の代表例
- 綿——「コットン」「COTTON」も指定用語として認められています
- 毛——羊毛だけでなく、カシミヤ・アンゴラ・モヘヤ・アルパカなどの獣毛を含む用語です。「毛(カシミヤ)」のように、括弧で種類を補うことができます
- 絹——「シルク」「SILK」も可
- 麻——指定用語の「麻」は亜麻(リネン)と苧麻(ラミー)だけを指します。ジュートなど他の靭皮繊維は「麻」とは書けません
- ポリエステル・ナイロン・アクリル・ポリウレタン・レーヨン・キュプラ・アセテート——化学繊維の主要なもの
指定用語にない繊維は「指定外繊維」
リヨセル(テンセル)やジュートなど、指定用語に含まれない繊維は「指定外繊維(リヨセル)」のように、「指定外繊維」と書いたうえで括弧内に名称を補います。「テンセル」のような商標名を単独で繊維名として使うことはできません。
商標名を見せたい場合は、指定用語を主として書き、その補足として併記するのが基本です。指定用語より商標名のほうが目立つ書き方は避けてください。
3. 割合は「質量比」の「百分率」で書く
混率は、その製品(または部位)の繊維全体の質量に対する、各繊維の質量の割合です。糸の本数や面積の比率ではありません。生地メーカーの規格書に記載されている混率は質量比なので、それをそのまま使えば問題ありません。
書き方の実務上のポイントは次の3つです。
- 整数で書く——「綿 65.4%」のような小数表示は使わず、整数にそろえるのが通常です
- 合計を100にする——各繊維の割合を足して100%になるように書きます
- 割合の大きい順に並べる——「綿 60% ポリエステル 40%」のように、多いものから順に書くのが基本です
混率の根拠は、生地メーカーが発行する規格書やミルシートです。私たちが工場に洗濯ネームを手配する際も、必ず生地の規格書の混率をそのまま転記し、口頭や記憶で書くことはしません。同じ「綿ポリ」の生地でも品番が変われば混率が変わるため、生地を切り替えたときは表示の作り直しが必要です。
4. 部位で素材が違うときは「分離表示」
Tシャツの身頃は綿100%だが、襟のリブにはポリウレタンが入っている。パーカーの身頃は綿ポリ混だが、ポケットの裏地はポリエステル100%。このように部位によって組成が違う場合は、部位ごとに分けて表示します。
表示例は次のような形です。
- 本体 綿 100%
- リブ部分 綿 95% ポリウレタン 5%
「本体」「身生地」「リブ部分」「別布」「裏地」のように、どの部分の混率かが分かる言葉を添えます。ボタンや縫い糸、面ファスナーなど、繊維製品の本体ではない付属品は表示の対象外です。
実務では、リブ・パイピング・ポケット袋布など、身頃と違う生地を使う付属パーツの混率確認が抜けやすいポイントです。付属生地の規格書も身頃と同じように取り寄せてください。
5. よくある間違いと確認の手順
私たちが表示内容をチェックする際に、実際に修正が入りやすいのは次のようなケースです。
- 「コットン」の表記自体は可能だが、同じネームの中で「綿」と「コットン」が混在している
- 「テンセル 100%」のように商標名を繊維名として書いている(正しくは「指定外繊維(リヨセル)100%」)
- ジュートやサイザルを「麻」と書いている
- リブや裏地の混率が抜けている
- 生地を変更したのに、前回の表示データをそのまま使っている
確認の手順としては、①使用する生地すべての規格書をそろえる、②部位ごとに繊維名を指定用語に置き換える、③割合を整数・合計100%・大きい順にそろえる、④分離表示が必要な部位を書き分ける、⑤洗濯表示・表示者名と合わせて1枚のネームに落とし込む、という流れになります。
まとめ
混率表示は、繊維名を指定用語で、割合を質量比の百分率で書くという原則さえ守れば難しいものではありません。迷ったときは生地の規格書に立ち返り、「その呼び名は指定用語か」を確認する。この2点で大半の間違いは防げます。