「デニムの洗濯表示は綿100%のTシャツと同じでよいのか」「色落ちについてはどこまで書けばいいのか」。ジーンズやデニムジャケット、デニム生地のバッグを作るとき、こうした相談をよく受けます。同じ綿でも、デニムには特有の注意点があります。
結論から書きます。デニムの洗濯表示は「色落ち・色移り」と「縮み」の2つを軸に決め、漂白は禁止、タンブル乾燥も禁止にするのが基本です。ストレッチデニムは、さらに熱への配慮が加わります。記号で示しきれない色移りの注意は、付記用語で補います。私たちはアパレルOEM会社として、デニム製品の表示を決めるたびにこの順で確認しています。
1. デニムの表示を決める前に確認する3点
デニムは見た目が似ていても、生地と加工で洗濯への強さが変わります。記号を選ぶ前に、次の3点を確認します。
- 洗い加工の有無——製品洗いをしていない生機に近いデニムは、最初の洗濯で大きく縮みます。製品洗いやワンウォッシュ済みのものは、縮みが落ち着いています
- ストレッチ糸の有無——ポリウレタンを含むかどうかで、アイロンと漂白の判断が変わります
- 染めの濃さと後加工——濃いインディゴほど色落ちと色移りが起きやすく、ダメージ加工や樹脂加工があれば、その耐久性も考えます
2. 綿100%のデニム(製品洗い済み)の組み合わせ例
ジーンズで最も多いパターンです。私たちが基本にしている組み合わせを示します。
- 洗濯——洗濯おけに「40」+下線1本(弱い処理)。濃色で色落ちを抑えたい場合は「30」にします
- 漂白——バツ(禁止)。インディゴは漂白剤で色が抜け、まだらになるおそれがあります
- タンブル乾燥——バツ(禁止)。熱による縮みと、こすれによる白っぽい当たりを防ぐためです
- 自然乾燥——四角に縦線、左上に斜線(日陰のつり干し)
- アイロン——点2つ(150℃上限)。厚手の綿100%なら点3つ(200℃上限)も選べます
- クリーニング——円にP、または円にF
3. ストレッチデニムで変えるところ
ポリウレタンを含むストレッチデニムは、熱と塩素系漂白剤に弱く、劣化すると伸縮性が失われます。組成は「綿98% ポリウレタン2%」のように、混率どおりに書きます。綿100%のパターンから変えるのは次の箇所です。
- アイロン——点1つ(110℃上限)か点2つ。点2つにする場合は「あて布を使用してください」を付記します
- タンブル乾燥——バツ(禁止)を必ず維持します
- 漂白——バツ(禁止)。インディゴの色に加え、ポリウレタンの劣化も避けるためです
4. 生機に近いデニムは縮みを前提にする
洗い加工をしていない硬いデニムは、最初の洗濯で寸法が縮むことを前提に作られています。この場合、記号は製品洗い済みと同じ考え方でかまいませんが、縮むことを消費者が知らないと苦情につながります。洗濯ネームには「洗濯により縮むことがあります」と短く付記し、詳しい説明は下げ札や商品ページに回すのが現実的です。縮み幅は生地で大きく異なるため、サンプルを洗って確認してください。
5. 色移り対策の付記用語
デニムで最も多い苦情は色移りです。記号では表せないため、付記用語で補います。よく使う組み合わせは次のとおりです。
- 裏返して洗ってください
- 色落ちすることがあるため、他の物と分けて洗ってください
- 濡れたまま放置しないでください
「淡い色の衣類やバッグ、家具に色が移ることがあります」といった着用時の注意は、洗濯ネームに入りきらなければ下げ札に回します。付記用語は記号と矛盾させないことが原則で、漂白を禁止にしたまま漂白剤の使い方を書くような食い違いは避けます。
6. ダメージ加工・樹脂加工がある場合
穴あきや擦れのダメージ加工は、洗濯で穴が広がったり、糸がほつれたりします。洗い方を下線2本(非常に弱い処理)に落とし、「洗濯ネットを使用してください」を付記するのが安全です。樹脂でしわや色を固定した加工は、溶剤や熱で風合いが変わることがあるため、クリーニングやアイロンの記号は加工を担当した工場の推奨を確認してから決めてください。
デニムの表示は、生地そのものより加工と染めで決まる部分が大きい製品です。サンプルを実際に洗い、色落ち・縮み・加工の状態を見てから記号を確定させると、量産後の苦情を大きく減らせます。