「綿100%のTシャツを作ったので、洗濯表示を付けたい。何を書けばいいのか」。これは私たちが受ける質問の中で、最も多いものの一つです。記号の意味を一つずつ調べるより、まず「よくある組み合わせ」を知ってから自分の製品に当てはめるほうが早く正確に決まります。
結論から書きます。綿100%のTシャツの洗濯表示は「白無地」「色物・杢」「プリント入り」の3パターンに分けて考えれば、ほとんどのケースをカバーできます。違いが出るのは漂白記号・乾燥記号・アイロン記号・クリーニング記号の4か所で、洗い方の記号はほぼ共通です。私たちはアパレルOEM会社として、Tシャツの生産のたびにこの判断をしています。実際に使っている組み合わせを、順に示します。
1. 前提——記号は5つを左から順に並べる
JIS L0001の洗濯表示は、洗濯・漂白・乾燥・アイロン・クリーニングの5つの基本記号をこの順に並べます。乾燥はタンブル乾燥と自然乾燥の2つを続けて書くので、実際には6つの記号が並ぶことが多くなります。
もう一つの前提は、記号が示すのは「その製品にしてよい処理の上限」だということです。例えば洗濯記号の「40」は「40℃を上限として洗える」という意味で、30℃で洗うことを妨げません。表示を決めるときは「この製品はどこまで耐えられるか」を考えることになります。
2. パターンA:白無地の綿100%Tシャツ
素材の耐久性が最も高いパターンです。染色もプリントもないため、漂白とアイロンの制限を緩くできます。
- 洗濯——洗濯桶に「40」。生地の縮みが気になる場合は下に線を1本入れて「弱い処理」にします
- 漂白——三角形のみ。塩素系・酸素系のどちらの漂白剤も使えることを示します
- タンブル乾燥——四角に円、点1つ(低い温度)。縮み試験をしていない場合はバツ(禁止)にするのが安全です
- 自然乾燥——四角に縦線(つり干し)
- アイロン——点2つ(150℃上限)。厚手の生地なら点3つ(200℃上限)も選べます
- クリーニング——円にP(パークロロエチレン及び石油系溶剤でのドライクリーニング可)
白無地でも、糸の撚りが甘い柔らかなTシャツは洗濯で縮みやすい傾向があります。私たちは、天竺の薄手生地では「弱い処理」の線を入れることが多いです。
3. パターンB:色物・杢の綿100%Tシャツ
染色されている生地は、漂白剤で色が抜けるおそれがあります。パターンAとの違いは漂白記号です。
- 洗濯——洗濯桶に「40」+下線1本(弱い処理)。濃色は色移りを避けるため「30」にするブランドもあります
- 漂白——三角形に斜線2本。酸素系漂白剤は使えるが、塩素系は使えないことを示します。濃色や反応染料以外の染めでは、バツ(漂白禁止)にする判断もあります
- タンブル乾燥——バツ(禁止)が無難です。乾燥機の熱は縮みだけでなく色あせの原因にもなります
- 自然乾燥——四角に縦線、左上に斜線(日陰でつり干し)。濃色の褪色を防ぐための指定です
- アイロン——点2つ(150℃上限)
- クリーニング——円にP、またはF(石油系溶剤のみ)。染料によっては溶剤で色落ちすることがあるため、不明なら工場に確認します
杢グレーのような混色糸の生地は、綿100%であっても一部にポリエステルが入っている製品があります。その場合は繊維組成の表記が「綿100%」ではなくなるので、必ず生地の混率を確認してから表示を作ってください。
4. パターンC:プリント入りの綿100%Tシャツ
プリントTシャツは、生地よりもインクの耐久性が表示を決めます。最も制限が厳しいパターンです。
- 洗濯——洗濯桶に「40」+下線1本、または「30」。プリント面を保護するため、付記用語で「裏返して洗ってください」と添えるのが定番です
- 漂白——バツ(漂白禁止)。インクの変色を避けるためです
- タンブル乾燥——バツ(禁止)。熱でプリントが硬化・ひび割れすることがあります
- 自然乾燥——四角に縦線、左上に斜線(日陰でつり干し)
- アイロン——点1つ(110℃上限)にし、付記用語で「あて布を使用してください」「プリント部分にアイロンを当てないでください」と添えます
- クリーニング——バツ(ドライクリーニング禁止)。溶剤でインクが溶けるおそれがあるためです
ラバープリント(ゴム系インク)はとくに熱に弱く、私たちはアイロン記号を点1つにし、あて布の付記を必ず入れています。顔料の染み込みプリントであれば、パターンBに近い表示でも問題ないことが多いですが、工場の推奨表示を確認するのが確実です。
5. 付記用語の書き方
記号だけでは伝えきれない注意点は、記号の近くに文章で書けます。これを付記用語といい、Tシャツでよく使うのは次のものです。
- 裏返して洗ってください
- 洗濯ネットを使用してください
- あて布を使用してください
- 濃色の製品は色移りすることがあるため、他の物と分けて洗ってください
- 形を整えて干してください
付記用語は「記号を補う」ためのもので、記号と矛盾する内容は書けません。例えば漂白の記号を「可」にしておいて付記用語で「漂白しないでください」と書くのは避けてください。
6. 洗濯表示の横に必ず書くもの
洗濯表示の記号は、家庭用品品質表示法に基づく表示の一部です。Tシャツの場合、記号と一緒に次の内容を表示する必要があります。
- 繊維の組成——「綿100%」。生地に別の繊維が混ざっていれば、その混率を書きます
- 表示者名と連絡先——ブランド名だけでは足りず、表示者(事業者)の名称と住所または電話番号が必要です
記号だけ印刷して繊維組成や表示者名を忘れているケースは、少なくありません。ラベルのレイアウトを決めるときは、記号と一緒に書く項目まで含めて確認してください。
7. 迷ったときの決め方
3つのパターンのどれにも当てはまらない、あるいは縮みや色落ちの試験をしていないという場合は、より厳しいほうの記号を選びます。「上限」を低く書くことは製品への責任として問題になりませんが、耐えられない処理を「可」と表示すると、クレームの原因になります。
綿100%のTシャツは、素材そのものは扱いやすい部類です。表示で差が出るのは、染色とプリントの有無です。自分の製品がA・B・Cのどれに近いかを見きわめてから、記号を一つずつ確定させていってください。