洗濯表示の記号を決め終えたあと、「記号の下に何か書き添えたほうがいいのか」「どこまで書けば親切で、どこからが書きすぎなのか」で手が止まる人は少なくありません。記号の横に添える短い文章を付記用語といいます。
結論から書きます。付記用語は、記号だけでは伝わらない「その製品ならではの注意」に絞って、1〜3行程度に収めるのが基本です。記号で表せることを文章で繰り返す必要はなく、記号と食い違う内容は書いてはいけません。私たちはアパレルOEM会社として、この考え方で洗濯ネームの付記用語を決めています。
1. 付記用語の位置づけ
洗濯表示の中心はあくまでJIS L0001の記号です。付記用語は、その記号を補足するために、記号の近くに文章で添えるものです。
- 主役は記号:洗い方・漂白・乾燥・アイロン・クリーニングの上限は記号で示す
- 付記用語は補足:記号にない注意や、扱い方のコツを文章で伝える
- 記号の代わりにはならない:記号を省いて文章だけで「手洗いしてください」と書く、という使い方はしない
付記用語は、入れなければならないものではありません。ただ、プリントや起毛、色落ちしやすい染めなど、記号だけでは事故を防ぎにくい製品では、入れておくことで消費者の失敗とお問い合わせを減らせます。
2. 書く・書かないの判断基準
書いたほうがよいもの
記号では表現できないが、守らないと製品が傷むものです。現場でよく使う例を挙げます。
- 裏返して洗ってください(プリント・刺繍・起毛面の保護)
- 洗濯ネットを使用してください(ニット、装飾付き、型崩れしやすいもの)
- 色が落ちることがあるため、他の物と分けて洗ってください(濃色・インディゴ・反応染めの濃い色)
- あて布を使用してください(てかりやプリントの溶けが心配なもの)
- 形を整えて干してください(襟や身頃がねじれやすいもの)
書かなくてよいもの
記号ですでに示している内容を、文章でもう一度書く必要はありません。たとえばアイロンを点1つにしているのに「低温でアイロンしてください」と重ねると、スペースを取るだけでなく、記号と文章のどちらを見ればよいのかが曖昧になります。
書いてはいけないもの
記号と矛盾する内容です。漂白を「可」にしたまま「漂白剤は使わないでください」と書く、タンブル乾燥を「禁止」にしたまま「乾燥機は低温で」と書く、といった食い違いは、校正で必ず直します。付記用語で制限を足したくなったら、それは記号の選び方を見直す合図だと考えてください。
3. どこまで書くか——行数とスペースの目安
洗濯ネームは、組成・記号・表示者名と連絡先を載せたうえで、残りのスペースに付記用語を入れることになります。小さなネームに長い文章を詰め込むと、文字が小さくなって読めなくなります。
- 目安は1〜3行:1行あたり十数文字程度に収まる短い文にする
- 優先順位を付ける:事故につながりやすい順(色落ち→プリント保護→型崩れ)に並べ、入りきらない分は削る
- 言い切りの短文にする:「〜の恐れがありますので、〜していただくようお願いします」ではなく「〜してください」
文字の大きさの下限は、ネームの素材や印刷方法によって変わります。縮小しすぎた文字がつぶれていないかは、校正の段階で原寸で確認するのが確実です。
4. 書ききれない注意は下げ札へ
「摩擦で毛玉ができることがあります」「濡れたまま放置すると色移りします」「着用を重ねると風合いが変わります」といった、素材の特性の説明まで洗濯ネームに入れる必要はありません。こうした説明は下げ札や商品ページに回すのが一般的です。
役割を分けて考えると整理しやすくなります。洗濯ネームは製品が捨てられるまで付いているので、洗うたびに見てほしい短い指示を。下げ札は購入時に読まれるものなので、素材の特性や理由の説明を載せます。
5. 製品別の付記用語の組み立て例
私たちがよく使う組み合わせを、製品の特徴ごとにまとめます。実際には素材と加工、洗濯試験の結果に合わせて調整してください。
| 製品の特徴 | 付記用語の例 |
|---|---|
| プリント入りのカットソー | 裏返して洗ってください/プリント部分にアイロンを当てないでください |
| 濃色・色落ちしやすい染め | 他の物と分けて洗ってください/濡れたまま放置しないでください |
| ニット・装飾付き | 洗濯ネットを使用してください/形を整えて干してください |
| 撥水加工品 | 柔軟剤は使用しないでください |
どの製品でも、並べた付記用語を最後に記号と照らし合わせ、矛盾がないかを確認してから確定します。
まとめ
付記用語は、記号を補うための短い文章です。記号で表せることは記号に任せ、その製品に固有の注意だけを1〜3行に絞って書きます。記号と矛盾する内容は書かず、長い説明は下げ札へ回す——この3点を守れば、読みやすく事故の少ない洗濯ネームになります。