「最初は数十着しか作らないのに、洗濯ネームを何百枚も頼まなければならないのか」「品番ごとに少しずつ違うネームが必要で、まとめて発注できない」。小ロットでブランドを始める方から、洗濯ネームの枚数についての相談をよく受けます。
結論から書きます。洗濯ネームの最小ロットは、依頼先と作り方によって大きく異なります。小ロットで作るときは、枚数だけで依頼先を選ぶのではなく、予備の見込み方と、品番をまたいでネームを共通化できるかを先に考えると、むだが減ります。私たちはアパレルOEM会社として、小ロットの生産でネームの手配を何度も組み立ててきました。その現場目線で整理します。具体的な枚数は依頼先ごとに違うため、ここでは考え方に絞ります。
1. 最小ロットが依頼先によって違う理由
洗濯ネームは、作り方によって準備の手間が変わります。版を作って刷る方法や、機械の段取りが必要な方法では、少ない枚数でも準備の手間は同じだけかかるため、ある程度の枚数からの受注になりやすくなります。一方、版を作らずに印刷できる方法を持つ依頼先では、少ない枚数から受けていることもあります。
- ネームの専門工場——量産向けの設備が中心で、まとまった枚数での受注が基本になりやすい
- 小ロット向けの印刷サービス——少ない枚数から頼みやすい一方、選べる素材や印刷方法が限られることがある
- 縫製工場やOEM会社経由——生産とまとめて手配するため、ネーム単体で頼むより調整しやすい場合がある
発注先の種類と選び方そのものは、別の記事で扱っています。
2. 少ない枚数ほど1枚あたりは高くなる
準備にかかる費用は枚数にかかわらず一定のため、枚数が少ないほど1枚あたりの費用は上がります。小ロットでは、1枚あたりの単価よりも、発注全体の金額で比べるほうが判断を誤りません。費用の内訳の見方は、別の記事で詳しく扱います。
3. 予備の見込み方
洗濯ネームは、生産枚数ちょうどで頼むと不足しがちです。次の理由で、予備を見込んでおきます。
- 縫製中の付け損じ——位置がずれた、縫い直したなどで、ネームが使えなくなることがあります
- 検品で不良になった製品の作り直し——製品を作り直すと、ネームも必要になります
- 追加生産——すぐに追加が決まりそうなら、その分を先に作っておくほうが安く済むことがあります
どれだけ予備を足すかは、製品の作りや縫製工場の考え方で変わります。縫製工場に、必要な予備の目安を確認してから枚数を決めてください。余ったネームは、追加生産までの間に紛失しないよう、品番と一緒に保管しておきます。
4. 品番が多いときのまとめ方
小ロットで品番が多いと、ネームの種類が増えて1種類あたりの枚数が少なくなります。ここで効くのが、ネームの共通化です。
内容が同じ品番はネームを共通にする
組成・洗濯表示・表示者が同じなら、品番が違っても同じネームを使えます。同じ生地で形だけが違う品番は、共通化しやすい代表例です。反対に、同じ形でも素材が違えば組成が変わるため、共通化はできません。
違う情報はネームから外す
サイズやカラーなど、品番やサイズごとに変わる情報を洗濯ネームに入れると、共通化できなくなります。サイズは別のサイズネームで表示するなど、変わる情報を分けて持つと、洗濯ネームの種類を減らせます。
複数の種類をまとめて発注できるか確認する
依頼先によっては、複数のデザインを合計した枚数で受けてくれることがあります。条件は依頼先で異なるため、見積もりの段階で確認してください。
5. 追加生産を見据えた準備
小ロットで始めたブランドは、売れ行きを見て追加生産を重ねることが多くなります。最初の発注のときに、ネームのデータを手元に保管し、素材・色・大きさなどの仕様を記録しておくと、追加のときに同じものを素早く頼めます。依頼先を変える場合も、仕様の記録があれば見本として渡せます。
納期にも注意が必要です。ネームが届かないと縫製を始められないため、縫製の予定から逆算して発注日を決めておきます。小ロット向けの依頼先でも、混み合う時期は日数がかかることがあります。
小ロットの洗濯ネームは、枚数の制約に振り回されがちです。共通化と予備の考え方を先に決めておけば、必要な枚数を落ち着いて見積もれます。