洗濯ネームの校正データが届いたとき、「ロゴの位置は良さそう」「記号も並んでいる」と見た目だけ確認して、そのまま発注してしまう方は少なくありません。ところが、縫い付けたあとで混率の数字の誤りや、表示者名の抜けに気付くケースは実際に起きています。一度縫い付けたネームを付け替えるのは、作り直すよりも手間がかかります。
結論から書きます。校正では「法律で必要な項目がそろっているか」「中身が製品と一致しているか」「実物のサイズで読めるか」の3点を、順番に確認します。私たちはアパレルOEM会社として、発注前の最終確認を次のチェックリストの形で行っています。
1. まず必要な項目がそろっているか
衣料品の洗濯ネーム(品質表示)には、家庭用品品質表示法にもとづく繊維製品品質表示規程で、表示すべき事項が決められています。校正ではまず、次の項目が抜けていないかを見ます。
- 繊維の組成:使っている繊維の名称と混用率
- 家庭洗濯等取扱い方法:JIS L0001の記号による表示
- 表示者名と連絡先:表示者の氏名または名称と、住所または電話番号
- はっ水性:レインコートなど、対象となる製品のみ
見落としが多いのは表示者名と連絡先です。ブランド名だけが入っていて、会社名や連絡先がないデータはそのまま発注できません。
2. 組成表示のチェック
繊維の名称は指定用語か
繊維名は、規程で定められた指定用語で書く必要があります。「コットン」「ポリエステル」のように、指定された表記になっているかを確認します。商品名や愛称のような呼び方は、そのまま組成欄に書くことはできません。
混用率の合計と並び順
数字の打ち間違いはもっとも多いミスです。合計が100%になっているか、混用率の大きい順に並んでいるかを確認します。生地の仕様書や生地メーカーの資料と、1文字ずつ突き合わせるのが確実です。
部位ごとの表示
表地と裏地、身生地とリブのように、部位で素材が違う製品は、部位ごとに分けて表示するのが基本です。仕様変更で途中から生地が変わった場合、ネームの組成だけが古いまま残っていることがあるため、最新の仕様と照合してください。
3. 取扱い表示(記号)のチェック
- 記号の並び順:JIS L0001では、洗濯、漂白、乾燥、アイロン仕上げ、商業クリーニングの順に並べます。
- 温度と強さ:洗濯おけの数字、下線の本数、アイロンの点の数が、素材と試験結果に合っているかを確認します。
- 記号の向きと欠け:縮小したときに下線や点がつぶれていないか、記号が回転していないかを見ます。
- 付記用語:「洗濯ネット使用」「色移りに注意」などを入れる場合、記号の内容と矛盾していないかを確認します。
記号の選び方そのものに迷う場合は、素材の特性と洗濯試験の結果を根拠に決めるのが原則です。見た目がそろっているかではなく、根拠があるかで判断してください。
4. 表示以外の記載のチェック
原産国表示やサイズ、品番などは、家庭用品品質表示法の義務項目ではありませんが、洗濯ネームに一緒に入れることが一般的です。入れる場合は内容の正確さが求められます。特に原産国は、実際に縫製した国と一致しているかを必ず確認します。生産工場の変更があった製品では、ここが古いまま残りやすい項目です。
5. 実物サイズで読めるかのチェック
画面で拡大して見ると問題がなくても、実寸では文字がつぶれることがあります。校正データは100%の大きさで印刷し、次の点を確認します。
- 小さな文字や記号の点・下線が判別できるか
- 縫い代にかかる部分に文字が入っていないか
- 折り加工をする場合、折り目に文字や記号がかからないか
- 多言語表記を入れる場合、スペースが足りずに詰まりすぎていないか
6. 発注条件のチェック
最後に、表示の内容ではなく発注そのものの条件を確認します。素材(ナイロン、サテンなど)、サイズ、カット方法、枚数、色(地色と印字色)が、見積もりや依頼内容と一致しているかを見ます。品番が複数ある場合は、どのデータがどの品番用かを取り違えないよう、ファイル名と中身を照合してください。
7. まとめ
洗濯ネームの校正は、「必要な項目がそろっているか」「製品の実際の仕様と一致しているか」「実寸で読めるか」の3段階で確認すると、見落としを防げます。とくに混用率の数字、表示者名と連絡先、原産国の3点は、縫い付けたあとに発覚すると手直しの負担が大きい項目です。校正の段階で、仕様書と1項目ずつ突き合わせる時間を取っておくことをおすすめします。