「洗濯ネームの素材は何を選べばいいですか」。初めてタグを発注するブランドから、必ずと言っていいほど聞かれる質問です。サンプル帳を見ると似たような白いテープが何種類も並んでいて、違いが分かりにくいのは無理もありません。
結論から書きます。迷ったらナイロンタフタを選べば、実務ではまず失敗しません。肌当たりを優先したい製品はポリエステルサテン、風合いや世界観を優先したい製品は綿テープ。この3つの使い分けで、ほとんどの服はカバーできます。私たちはアパレルOEM会社として毎シーズン洗濯ネームを手配していますが、素材選びで起きるトラブルは「見た目で選んだら、洗濯後に文字が読めなくなった」「首元でチクチクすると返品が来た」の2つにほぼ集約されます。
1. 洗濯ネームの素材を選ぶ前に知っておくこと
洗濯ネームは、ブランドタグのように糸で文字を織るのではなく、テープに組成や洗濯表示記号を印刷して作るのが一般的です。つまり素材選びは「そのテープに、洗濯を繰り返しても消えない印刷ができるか」という問いでもあります。
品質表示は、購入後も消費者が確認できる状態であることが前提の表示です。何度か洗ったら記号がかすれて読めない、という状態は表示として役目を果たしていません。素材の好みより先に、この前提を置いてください。
2. ナイロンタフタ——迷ったらこれ
薄く、張りがあり、表面がなめらかな平織りのテープです。洗濯ネームで最も広く使われている素材で、既製服の内側についている白いタグの多くがこれです。
- 長所——印刷が乗りやすく、細かい洗濯表示記号や小さな文字もくっきり出ます。洗濯による印刷の劣化が比較的少なく、単価も抑えやすい素材です
- 短所——張りがあるぶん、切り口が硬くなりがちです。首の後ろなど肌に直接当たる位置では、チクチクすると感じる人がいます
- 向く製品——脇の内側や裾に縫い込むタグ、ボトムス、アウター、バッグなどの雑貨
表示の正確さと耐久性を最優先するなら、まずナイロンタフタを基準に考えるのが実務の定石です。
3. ポリエステルサテン——肌当たりを優先するなら
表面に光沢があり、触ると明らかに柔らかいテープです。タフタより厚みと柔らかさがあります。
- 長所——肌当たりがなめらかで、首元に付けてもチクチクしにくい。見た目にも上質な印象になります
- 短所——タフタより単価が上がるのが一般的です。また、表面の光沢と柔らかさのため、印刷方法によっては細い線が甘くなることがあります。発注前に実物サンプルで記号の見え方を確認してください
- 向く製品——インナー、ルームウェア、ベビー服、首元にタグを付けるカットソーやシャツ
4. 綿テープ——風合いを揃えたいとき
綿の糸で織った、マットで素朴な質感のテープです。オーガニックコットンやナチュラル系のブランドで、服の世界観に合わせて選ばれることが多い素材です。
- 長所——柔らかく、化学繊維のテープにない自然な風合いがあります。綿100%の服と合わせたとき、タグだけが浮いて見えることがありません
- 短所——表面に凹凸があるため、細かい記号や小さな文字は印刷がにじみやすく、洗濯を重ねると薄くなりやすい傾向があります。切り口がほつれやすいので、端の処理も確認が必要です
- 向く製品——文字数が少なく、記号を大きめに配置できるタグ。ナチュラル系ブランドのトップスやボトムス
綿テープを選ぶ場合は、記号のサイズと文字の大きさに余裕を持たせたレイアウトにすると、読めなくなるリスクを下げられます。
5. 素材を決める3つの判断基準
基準1:タグが肌に当たるか
首の後ろや背中の中心など、肌に直接当たる位置に付けるならサテンを優先します。脇の内側や裾など当たりにくい位置なら、タフタで十分です。付ける位置は素材より先に決めてください。
基準2:記載する情報量
組成、洗濯表示記号、表示者名、原産国、さらに英語表記まで1枚に入れるなら、情報量が多くなります。小さな文字をはっきり出したいなら、印刷の再現性が高いタフタが向いています。
基準3:洗濯の頻度と方法
毎日洗うインナーやTシャツは、タグも洗濯回数が多くなります。耐久性が要求される製品ほど、印刷の劣化が少ない素材を選ぶべきです。
6. 発注前に必ずやること
どの素材を選んでも、量産の前に実物のサンプルを数回洗濯して、記号と文字が読めるか確認することをおすすめします。素材と印刷方法の組み合わせによって、同じ素材名でも仕上がりは工場ごとに変わるからです。単価や最小ロットも素材と工場によって異なるので、見積もりは素材を指定したうえで取り、比較してください。
洗濯ネームは目立たない副資材ですが、購入後に最も長く製品に残る表示です。見た目の好みだけで決めず、「付ける位置」「情報量」「洗濯頻度」の3つから逆算して選べば、素材で後悔することはまずありません。