「洗濯ネームのデータを送ったら、形式が違うと言われて戻ってきた」「文字化けしていると連絡が来た」「縫い代に文字がかかっていると指摘された」。洗濯ネームの入稿では、内容は正しくても、データの作り方で差し戻されることがよくあります。差し戻しが続くと、ネームの納期が遅れ、縫製の予定にも響きます。
結論から書きます。洗濯ネームの入稿データは、依頼先が指定する形式で、文字をアウトライン化し、記号は正規の形のまま使い、縫い代と余白に文字をかけないことが基本です。この4点を押さえれば、差し戻しの大半は防げます。私たちはアパレルOEM会社として、お客様から預かったネームのデータを工場に入稿する前に確認する立場にあります。そこでよく直す箇所を中心に整理します。
1. データ形式は依頼先の指定に合わせる
受け付けるデータ形式は依頼先によって異なります。多くの場合、Illustrator(.ai)形式か、PDFでの入稿が求められます。どちらも拡大しても線や文字がぼやけない形式で、印刷用の版や機械の設定にそのまま使えるためです。
写真や画像の形式で作ったデータは、拡大すると文字の縁や細い線がぼやけ、記号の点や下線が読み取りにくくなります。依頼先によっては受け付けないか、作り直しの費用がかかることがあります。入稿の前に、依頼先の入稿案内を確認してください。
2. 文字は必ずアウトライン化する
アウトライン化とは、文字をフォントの情報ではなく図形として保存する処理です。これをしないまま入稿すると、依頼先の環境に同じフォントがない場合、別のフォントに置き換わって文字化けや配置のずれが起きます。
- 入稿用のデータでは、すべての文字をアウトライン化する
- アウトライン化すると文字の修正ができなくなるため、元のデータは別に保存しておく
- 極端に細いフォントは、印刷でかすれやすいので避ける
3. 洗濯記号は正規の形で使う
洗濯表示の記号は、JIS L0001に定められた形を使います。見た目が似ていても、自分で描き直した記号や、旧表示の記号を混ぜて使うのは避けてください。
- 点や線を省略しない——アイロンの点の数や、洗濯おけの下線の本数は、意味を左右します
- 並び順を守る——洗濯、漂白、乾燥、アイロン、クリーニングの順に並べます
- 大きさをそろえる——記号ごとに大きさがばらつくと、読みにくく見えます
正規の記号を並べたデータを用意するには、洗濯ネーム作るくんのような作成ツールを使う方法もあります。
4. 縫い代と余白を見込む
洗濯ネームは、端を縫い目に挟んだり、折り返して縫い付けたりします。その部分に文字や記号を置くと、縫い付けたあとに隠れてしまいます。
- データ上で、縫い代になる範囲と、表示を置く範囲を分けて考える
- 表示を置く範囲の外周にも余白を残し、縫いのずれで文字が欠けないようにする
- データに書く寸法が、仕上がり寸法なのか縫い代込みの寸法なのかを明記する
縫い代の幅は付け方や依頼先によって異なります。縫い付け位置とあわせて、事前に縫製工場と確認しておいてください。
5. 色と印刷面の指定
洗濯ネームは、1色で印刷するのが一般的です。データの中で文字が黒と濃い灰色に分かれているなど、意図しない色が混ざっていると、確認の連絡が来ることがあります。印刷する色は一つにそろえ、テープの色とインクの色を文章でも伝えておきます。色を厳密に合わせたい場合は色見本の番号で指定する方法もありますが、素材によって見え方が変わるため、仕上がりは見本で確かめてください。
6. 入稿前のチェックリスト
- 依頼先が指定する形式で保存したか
- すべての文字をアウトライン化したか
- 画像が貼り込まれたままになっていないか
- 記号は正規の形で、点や線が欠けていないか
- 縫い代の範囲に文字がかかっていないか
- 寸法と、それが仕上がりか縫い代込みかを書いたか
- 両面印刷の場合、表と裏の指定を書いたか
- 印刷の色が一つにそろっているか
データを送る前に、原寸で印刷して実際の大きさで読めるかを確かめると、細かすぎる文字やつぶれそうな記号に気付けます。差し戻しを防ぐことは、ネームの納期を守ることでもあります。