「漂白記号の三角形に線が入っているものと入っていないものは何が違うのか」「色物の服はどれを選べばいいのか」。漂白記号は種類が3つしかありませんが、選び方を誤ると、色抜けや生地の傷みといった目に見える苦情につながります。
結論から書きます。漂白記号は「三角形のみ」「三角形に斜線2本」「三角形にバツ」の3種類です。白の綿や麻のように漂白剤に強い製品は三角形のみ、多くの色柄物は斜線2本、漂白剤で傷む素材や加工がある製品はバツを選びます。私たちはアパレルOEM会社として、生地の色と素材、付属品を確認しながらこの3つを選び分けています。
1. 3種類の記号の意味
JIS L0001の漂白記号は三角形で表します。
- 三角形のみ——塩素系及び酸素系の漂白剤を使用して漂白処理ができる
- 三角形に斜線2本——酸素系漂白剤の使用はできるが、塩素系漂白剤は使用禁止
- 三角形にバツ——塩素系及び酸素系の漂白剤の使用禁止
旧表示では塩素系漂白の可否だけを示していましたが、2016年12月からの新しい表示では、酸素系漂白剤の扱いも示せるようになりました。旧表示との対応は別の記事で扱っています。
2. 塩素系と酸素系の違い
記号を選ぶには、2種類の漂白剤の性質の違いを知っておく必要があります。
塩素系漂白剤
漂白力が強く、白物の黄ばみやしみを落とす力があります。一方で、染料の色まで抜いてしまうため、色柄物にはまず使えません。毛や絹、ポリウレタンなど、塩素系漂白剤で傷みや黄変が起きやすい素材もあります。
酸素系漂白剤
塩素系より穏やかで、多くの色柄物にも使えるとされています。ただし、染料や加工によっては色が変わることがあり、酸素系漂白剤にも液体や粉末などの種類があります。消費者はふだん、漂白剤の容器の表示を見て使い分けています。洗濯ネームの記号は、その判断の前提になる情報です。
3. 記号を選ぶ判断基準
三角形のみを選ぶ製品
白無地で、綿や麻など塩素系漂白剤に耐える素材の製品です。白いシャツやタオル、エプロンなど、漂白したい場面が多い製品では、この記号が使えると扱いやすくなります。ただし、白でもポリウレタン入りのストレッチ素材や、色の入った刺繍やプリントがあれば、この記号は選びません。
三角形に斜線2本を選ぶ製品
色柄物の多くは、この記号が基本になります。塩素系は色が抜けるため禁止にし、酸素系は使えることを示します。色物でも、酸素系漂白剤で色が変わらないかを確かめてから選ぶのが原則です。
三角形にバツを選ぶ製品
次のような製品では、漂白剤をすべて禁止にします。
- 酸素系漂白剤でも色が変わる染め(濃色、インディゴなど)
- プリントや箔、特殊な加工で、漂白剤による変色やはがれが心配なもの
- 撥水などの機能加工があり、漂白剤で効果が落ちるもの
- 金属の付属品が多く、漂白剤による変色が心配なもの
4. 迷いやすいケース
白地に色のプリントが入った製品は、生地だけ見れば三角形のみを選べても、プリントの色が塩素系で抜けるおそれがあります。この場合は斜線2本かバツにします。また、白と色物を同じ品番で展開するときは、カラーごとに記号を変えるか、いちばん厳しいカラーに合わせて統一するかを決めておきます。後者のほうが管理は楽ですが、白の製品の使い勝手は下がります。
5. 付記用語で補うことはあるか
漂白の可否は記号だけで伝わるため、付記用語で繰り返す必要は基本的にありません。補うとすれば、記号では表せない注意です。たとえば生成りや淡い色の製品では、「蛍光増白剤の入っていない洗剤を使用してください」と添えることがあります。洗剤に含まれる成分で、元の色合いが白っぽく変わるのを防ぐためです。逆に、斜線2本の記号を付けたまま「漂白剤は使わないでください」と書くような、記号と矛盾する付記は避けてください。
6. 確定前の確認
漂白記号は、生地の色の堅ろう度や加工の内容で決まります。生地の手配先が出している試験の結果があれば、それを根拠にします。結果がない場合は、サンプルの目立たない部分で酸素系漂白剤を使い、色の変化を確かめてから決めてください。根拠がないまま「可」の記号を付けるより、試験ができるまではバツにしておくほうが安全です。