「赤ちゃんの服に付ける洗濯ネームは、大人の服と何か違うのか」「首の後ろのタグがチクチクしないようにしたい」。ベビー服や子供服を企画する方からは、表示の内容よりも、付け方や肌あたりについての相談を多く受けます。
結論から書きます。ベビー服・子供服でも、表示する内容は大人の服と同じ考え方で決めます。違いが出るのは、ネームの素材、端の処理、縫い付ける位置の3点です。肌に当たる刺激を減らす工夫をしたうえで、表示が読める状態を保つことが大切です。私たちはアパレルOEM会社として、子供服のサンプルづくりでネームの付け方を何度も見直してきました。その現場目線で整理します。
1. 表示の内容は大人服と同じ
ベビー服・子供服だからといって、品質表示の項目が減ったり、特別な書き方になったりするわけではありません。繊維の組成、JIS L0001の洗濯表示、表示者名と連絡先という基本の項目を、大人の服と同じように載せます。部位で素材が違えば部位別に書き分ける点も同じです。
なお、乳幼児向けの繊維製品には、品質表示とは別の法律で有害物質に関する基準が設けられています。生地だけでなく、ネームや付属品も製品の一部です。素材の安全性については、生地やネームの手配先に確認しておくと安心です。
2. ネームの素材は肌あたりで選ぶ
大人の服でよく使う、張りのあるナイロンやポリエステルのテープは、文字がくっきり出る一方、端が硬く感じられることがあります。ベビー服・子供服では、次のような点を重視して素材を選びます。
- やわらかさ——薄くしなやかなテープや、やわらかい風合いのサテン、綿のテープなど
- 端の処理——切りっぱなしの端は硬くなりやすいため、端がなめらかになる加工や、折り返して縫い込む付け方を選びます
- 大きさ——表示が読める範囲で、できるだけ小さく薄くまとめます
やわらかい素材ほど、印刷の細かさや耐久性に差が出ます。素材を決めたら、文字の大きさと印刷方法が合っているかを、工場と一緒に確認してください。
3. 縫い付け位置の工夫
大人の服では首の後ろ中央に付けることが多いですが、ベビー服・子供服では、肌への刺激が少ない位置を優先します。
- 脇の縫い目の内側——首まわりを避ける定番の位置です。縫い目に挟み込み、ネームが肌側に立たないように付けます
- 裾の脇の縫い目——ロンパースや肌着など、上半身の当たりを避けたい製品で使います
- 外側に付ける——デザインに合う場合は、ネームを服の外側に付けて、肌に触れないようにする方法もあります
どの位置でも、表示が見やすく、簡単に外れない付け方であることが前提です。保護者がネームを切り取ってしまうと、洗い方が分からなくなります。切りたくならない付け方を考えることも、表示を守る工夫の一つです。
4. 生地に直接印刷する方法
ネームを縫い付けず、服の内側に表示を直接印刷する方法もあります。タグの当たりがなくなる点が利点です。表示する項目は、縫い付けのネームと変わりません。ただし、印刷が洗濯で薄くならないか、生地が伸びて文字が読みにくくならないかを、サンプルで確かめる必要があります。リブや伸びやすい天竺に印刷する場合は特に注意してください。
5. 洗う回数の多さを踏まえた記号の決め方
ベビー服・子供服は、大人の服より洗う回数がずっと多くなります。家庭で毎日のように洗濯機で洗い、乾燥機を使う家庭も少なくありません。手洗いやタンブル乾燥禁止を安易に付けると、実際の使われ方と合わず、表示が守られないまま縮みや傷みが起きます。
洗濯機の弱い処理やタンブル乾燥に耐えられるかを試験で確かめ、耐えられる範囲で使いやすい表示にするのが理想です。耐えられない場合は、その理由が分かる付記用語を添えると、保護者にも伝わりやすくなります。
6. 最後に確認すること
サンプルができたら、実際に服を裏返し、ネームの端や縫い目を手でなぞって、硬さや糸の飛び出しがないかを確かめます。何度か洗ったあとに、端が硬くなっていないか、文字が読めるかも確認してください。サイズ違いを展開する場合は、小さいサイズでもネームの位置や大きさが合っているかを見ておきます。子供服のネームは、肌あたりと読みやすさの両方を満たしてはじめて完成です。