「仕入れた服にタグがない」「古い生地をリメイクして販売したい」「海外から買い付けた服に日本向けの表示がない」。こうした相談では、後から品質表示を付けられるのか、誰の名前で何を書くのかで迷う方が多くいらっしゃいます。
結論から書きます。後付けは可能ですが、書く内容の裏付けは「付ける側」が責任を持って用意する必要があります。特に、組成(繊維の種類と割合)を推測で書くのは避けてください。私たちはアパレルOEM会社として、タグのない既製品に表示を付ける場面にも対応してきた立場から、考え方を整理します。
1. まず、そもそも後付けが必要かを確認する
仕入れ品に、すでにメーカーの品質表示が付いている場合は、基本的にそれを外さずに販売します。表示を外してブランドタグだけにすると、必要な表示がない状態になるおそれがあります。
後付けが必要になるのは、主に次のケースです。
- 表示がまったくない——無地の既製ボディ、生産ロットの余りなど
- 海外の表示のみで、日本の表示事項を満たしていない——組成や取扱い表示が日本向けの形式になっていない場合
- リメイク・加工で内容が変わった——生地を切り貼りした、別素材を縫い合わせたなど、元の表示が実態と合わなくなった場合
2. 表示者は「表示を付けて売る事業者」になる
品質表示には、組成・洗濯表示とあわせて、表示者の名称と住所または電話番号を載せます。後付けする場合、その表示に責任を持つのは、表示を付けて販売する事業者です。仕入れ先の名前を借りるのではなく、自社(個人事業主なら屋号または氏名)を表示者として書くのが原則です。
表示者名や連絡先の具体的な書き方は別の記事で解説していますが、ここで大事なのは「後から付ける以上、問い合わせや責任が自社に来る」という点です。
3. 組成が分からないときの考え方
後付けで一番つまずくのが、組成の確認です。次の順で考えます。
仕入れ先に確認する
まず仕入れ先に、混率が分かる書類やタグの写真をもらいます。メーカー品なら、元の品質表示の内容が根拠になります。やり取りは記録として残しておくと、後で確認が必要になったときに役立ちます。
古着・リメイク素材は確認が難しい
元のタグが取れている古い生地や、複数の生地を組み合わせたリメイク品は、組成の確認そのものが難しくなります。手触りや見た目で「綿100%だろう」と判断して書くのは危険です。迷う場合は、繊維の分析を行う検査機関への依頼を検討します。費用や日数は依頼先と検査内容によって変わるため、事前に見積もりを取るのが確実です。
部位ごとに素材が違う場合
表地と裏地、リブなどで素材が違うときは、部位別に書き分けます。リメイクで複数の生地を使った場合も同じ考え方です。
4. 洗濯表示は「実際の素材と加工」から決める
洗濯表示は、JIS L0001の記号を使い、その製品に対して行ってよい処理の上限を示します。仕入れ品の場合、元のタグの洗濯表示を引き継いでよいとは限りません。リメイクや後加工(プリント・刺繍・ワッシャー加工など)で、洗濯への強さが変わることがあるためです。
判断に迷うときは、より弱い処理を選ぶのが安全側の考え方です。自社で洗濯テストをして、縮みや色落ちを確認してから記号を決める方法もあります。
5. 付ける方法と位置
後付けのタグは、洗濯や着用で簡単に外れない方法で付けるのが基本です。縫い付けるか、縫い目に挟み込む形にします。位置は、首の後ろ中央か脇の縫い目の内側が一般的です。ブランドタグとは別に、小さな洗濯ネームを脇に付ける方法がよく使われます。
すでに完成した服に付ける場合は、縫い目をほどかずに「四方を縫う」形で付けることが多くなります。タグの端がほつれにくい素材や端処理のものを選ぶと、仕上がりがきれいです。
6. 判断に迷うときの整理
- 元の表示が付いている → 外さずに販売するのが基本
- 表示がない・実態と合わない → 自社を表示者として後付けする
- 組成が確認できない → 推測で書かず、仕入れ先への確認か検査を検討する
- 古着の販売など扱いが分かれやすいケース → 所管の窓口(消費者庁の相談先など)に確認する
後付けは「付ければよい」のではなく、内容に根拠があるかどうかが肝心です。小ロットでも、タグを注文する前に組成の裏付けと表示者の名前を決めておくと、やり直しが減ります。